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日野さんが器に描く世界
絵本のようなかわいい絵付けが人気の陶芸家・日野沙織さんとの出会いは、
日野さんがまだ陶芸の修行中に日々舎にベーグルを買いに来てくれたことでした。
その頃からのご縁で日野さんの器と日々舎のベーグルで一緒に何かできたらいいな…
という私の希望でお声がけしたところ、やってみたいというご快諾をいただき今回の企画
日野さんの器とベーグルのセット販売が実現しました。
そしてせっかくのこの機会に優しくてかわいい器の絵の物語を知りたくて
日野さんに陶芸家になるまでの道のりや動物たちの絵を描くようになったきっかけを伺いました。
小さい頃から絵を描いたり工作したりとモノ作りが好きだったという日野さん。大学では陶芸部に興味が惹かれ入部、土に触るのが気持ちいい、粘土の感触が好きということに気づき、陶芸の魅力にハマったと言います。
やがて大学卒業後は一旦SEとして就職するも画面に向かってキーボードを叩きながら何かを作るのは自分には合わないと感じ「手を動かしてモノ作りがしたい」という想いに駆られたそうです。そんな時に益子の陶器市を訪れ改めて陶芸に魅力を感じ、たまたまある製陶所のスタッフ募集の貼り紙を見つけました。陶芸をやりたいという想いが沸き、いろいろと模索した結果仕事を辞め、いつか見た貼り紙にあった製陶所に連絡を取り、そこで弟子として陶芸を仕事とする人生をスタートさせたのでした。
「会社員から陶芸家に」
パソコンの画面に向かって夜遅くまで仕事をしていた時と違い、仲間と一緒に手を動かし体を動かして陶芸に向かう日々。体力的に大変なことは増えたけれど好きだった陶芸を仕事にできることを楽しんでいた日野さん。「弟子として仕事をするのは厳しいこともあるけど基本的なことを繰り返し繰り返しやって大事なことが身につきました」
そしてそんな陶芸の修行中、日野さんは同じ工房の仲間たちと日々舎に昼休みにパンを買いに来てくれてすっかり顔馴染みのお客さんになりました。やがて独立するという報告もしてくれてそれは嬉しかった記憶があります。その後も時々お店に来てくれてお仕事の話をすることもあり、気づけばあっという間に人気の作家さんになっていらっしゃいました。
「かわいい動物たちが見せる器の上の物語」
たくさんのかわいらしい動物の絵付けがトレードマークのようになった日野さん。そのような作品を作るようになったのは、益子に来てから自分のための絵日記や離れて暮らすご実家の家族への絵ハガキで描いたキツネの絵がきっかけでした。
子どもの頃、家にたくさんあった絵本や図鑑などを見るのが大好きだったという日野さん。その頃の読書体験が日野さん独自の世界観を生み出し、今の作風の原点になっていると言います。「最初は器にはシンプルな絵付けだけだったんですけど、主人に「かわいいからその絵を器に描いてみたら?」と勧められたのでやってみました」
そしてキツネがフランスパンを持った絵付けが動物の絵の器の第一号となりました。
描く動物の種類が増え白地に青の一色だったものがカラフルになっていき、ますます可愛らしく賑やかになっていった日野さんの器はあっという間にファンを増やしていきました。
いつか日々舎にパンを買いに来てくださった時、日野さんがこんな話をしてくれました。「日々舎のベーグルが好きでそれがきっかけで【ベーグルにハマった猫】っていう絵も器に描いてるんですよ」
それはとても嬉しいことで、ただパンを作っておいしいと声をかけていただくことだけでもありがたいことなのに、日々舎のベーグルが誰かの何かに少しでも影響をもたらしているということがとても嬉しく長年続けているとこんなこともあるのだなと思ったものです。
「登り窯プロジェクトで刺激を受ける」
ここ何年かは国内外のギャラリーで開かれる個展に大忙しという日野さん。特に中国での人気が高く個展を開くギャラリーからは「もっと絵を賑やかにしてほしい」というオーダーもあるそうです。
そんな風に作陶に追われながらも2025年から2026年にかけて益子と笠間で行われた「登り窯プロジェクト」に参加しました。笠間と益子の陶芸家たちが集まり、普段はなかなか使うことがない登り窯で自分の作品を焼くという企画。登り窯で焼くため、いつもとは違う作陶で臨み初めての登り窯での窯焚きに取り組み、やりたかったことに挑戦できたと有意義な経験ができたとのこと。
「シンプルで素朴な器も作りたい」今回の登り窯プロジェクトで刺激を受け、今後の作陶にも変化を出していきたいという日野さん。「今は動物の絵が描かれた器をメインに作っていますが、例えば、もっと土本来の良さを活かした器など今までとは異なる新しい作風にも少しずつ挑戦してみたいと思っています」










